
- Web2.0でビジネスが変わる
- 神田 敏晶
- ソフトバンククリエイティブ 2006-06-16
- 評価
by G-Tools
同じく新書でWeb2.0という言葉を広めた梅田望夫「ウェブ進化論」も読んだが、「進化論」がどちらかといえばWeb2.0の技術的なバックボーンや概念の方に注力しているのに対し、本書はテクノロジーについてはほとんど言及しておらず、その技術がどうビジネスに生かされるのか、どう消費者と関わるのかということを、具体的な事例を列挙している。
そういう意味では2冊は相互補完的な内容であり、できれば両方読むことをオススメする。
ウェブが一般化してからおよそ10年。今まではまだまだ一般の人にとってウェブは決してとっつきやすいものではなかった。ある程度の技術的な知識がなければ、ウェブを通して情報発信や情報共有するのは難しく、ウェブのアドバンテージを十分に使えるサービスもあまりなかった。
また、ネットといえばトラフィックを稼ぐことによって収益を得る旧来型の(Web1.0的な)ポータルサイトを利用することだった。
本書によれば、Web1.0→Web2.0の変化は「行動様式」の変化である。すなわち企業や消費者、メディアが、上記のようなテクノロジー本位、プラットフォーム本位の「行動様式」から、「いつでもどこでも」、「技術知識がなくても」利用できるサービス本位、消費者本位の「行動様式」へ変化することである。
情報を中央集権的に囲い込むことで、結局大企業が主導権を握ってしまうというWeb1.0的な図式は、結局のところネットの外の世界と構造的にはほとんど違いがないだろう。そういうのって、簡単に言ってしまえば全然面白くない。
この本の事例に従えば、自分の「行動様式」はここ最近かなりのスピードでWeb2.0的になってきている。
端的には、ここ一ヶ月ほどまったくテレビをつけていないし、何かものを買うときは必ずブログやAmazonのレビューで調べてから、kakaku.comで値段を比較して安いところでネットショッピング。RSSやポッドキャスティング、ソーシャルブックマークで大量の情報の中から自分の必要とする情報のみを取ってくる。民放で少し気になる映像は、該当部分のみYouTubeを使って鑑賞する。買ったもののレビューを自分のブログに書く。今後アフィリエイト広告にも徐々に参加予定。etc.
本書でもいくつか事例を挙げて現在のテレビのビジネスモデルの問題点を指摘しているが、最大公約数的で、スポンサーによるフィルターがかかったレベルの低い情報しか発信(というか垂れ流し)できないテレビに、もう自分にはほとんどなんの価値も見出せない。まあ、暇つぶしくらいにはなるが、社会人になってつぶせるような暇がなくなった。要するにテレビは情報を得るツールとしてはあまりに非効率で、娯楽以外の有用性は何もないと思う。娯楽はテレビ以外にもいくらでもある。
このような考え方は現在では偏っている部類に入るとは思うが、今後同じような考え方を持った人は増えていくだろうし、また、テレビに対する失望感もどんどん消費者の間で広がっていくだろう。(昨日の亀田興毅のタイトルマッチの件もその一例だと思う)
自分としては、この本で書かれているような事例が一刻も早く一般消費者に十分に浸透し、既得権に安住している既存メディアが危機感を感じ、少しでもその構造が改善されることを切に願っている。

